嵐が去ったとばかりに、ロバートの生気は失われた。

「あいつらの手間してると本当に疲れる…」

「ロバートさん…」

可愛かったですよ、とか言ったらぶん殴られそう?

「フリンさんっていい方ですよね」

「そうだな。ちょっとうぜぇけど」

「素直になればいいのに」


ぷっとマリアが吹き出すと、
ロバートはいじけたように
背を向けた。

「熱…測って」

「はい」

今日はなんだか、立場が逆転したみたい。

私が王子様を看病してるような。

いや、ロバートさんは顔が王子に似てるだけで、王子ではないんだけど。

マリアとロバートは向き合った。

マリアが体温計を出すと、それを持った手はロバートが掴んで制した。

「え?あの」

マリアが戸惑っていると、ロバートは起き上がってマリアに顔を近づけた。

マリアの鼓動は速くなる

なに、どういう体温の測り方!?

もう、ロバートさんの目しか視界に入らないくらいの距離


こつん と2人の額が触れた。

「熱、ある?」

ロバートは目を閉じている。

マリアは目をぱちぱちさせて、
動揺を隠しきれない

「…あ、あっついです」

自分の体温が暑いのか?
心臓が爆発する。
何なんだこの状況!

「そう」

ロバートは額を離すと、
目を開けた。

にっ、と口元が悪戯っぽく釣り上がる。

「もしかして、ドキドキしちゃったりした?」

それを聞くとマリアの顔は茹でタコのように真っ赤になり、その場で倒れてしまった。


「お前の方が100倍ガキだな」

倒れたマリアを抱き抱えて、
ロバートは嬉しそうに呟いた。