俺のペットはプリンセス〜プリンセス・マリアと王子のキス〜




「起きろ」


目を開けると、


男の顔が

目の前に…


「起きろ」


「キャーッ!」


ベチン!



「ぐぉっ」








「あれ?…今とっても
気持ちよかったわ…
キスしてる様な気分で…」





「おい!」




「は、はい…」


ふと気がつくとベッドの中にいた。
あ、昨日は学校に来て、ここに入ってねたんだった。


…この男の人は…誰?



ここは私の寮の部屋の中で、
そこにいるのは…?



「ロバート・ハドソン」

男は私に殴られた頬をさすりながら不機嫌そうに言った。
おそらく彼の名前。
よく見るとスーツのような正装だ。

マリアはロバートという男をまじまじと見た。



なんだこいつ、とぶつぶつ呟いている。




「あなた、その服…貴族の方?
私ったら、本当にすみません。
お怪我はありませんか。」


マリアはベッドに入ったまま謝る。


「馬鹿なのかお前!殺す気か!
初対面の男性に向かって暴力とは、
トンチンカンなお嬢様だな!」


その男、ロバートは、赤くなった頬を
さすりながら叫んだ。


「すみません!すみません!
本当に悪気は無くて…」





マリアは罵声を浴びせる男に謝る。



大変なことをしてしまった。




…それでもあの夢が忘れられない。



「本当にすみません!
でも…本当にいい夢だったんです。
王子様と深く長い、幸せなキスをする夢でした…」


マリアは手のひらを合わせ、
まぶたをとじ、幸せに浸った。



「阿呆か!」ロバートはマリアの頭にげんこつをする。



「いっ…痛ぁ…」


「いいか、その王子様とのキ…スやらなんとか、そういう話は禁止だ。
おとぎ話は夢の中だけにしてくれ。
またやらかせば…絞め殺すぞ」



ロバートは鬼のような勢いで言った。


「す、すみません」


「早く着替えて行くぞ」



ロバートはマリアをベッドから下ろし、
清掃服姿をみて、絶句した。


「…なんだその服」


「あっ!あの…これは、パジャマで」

綺麗なドレスはもう無い。
ただの召使いだとばれたら、
どうなるかわからなかった。



「さっさと捨てろ。
もっとお嬢様なりの服くらい持ってるだろう」

ロバートは朝食用、といって
ドレスを持ってきた。
さらに、イヤリングなどの
アクセサリーも。
高いハイヒールまで。


「これらは毎日、朝食時に着るものだ。
お前のものになる。丁寧に扱え」


ロバートは一式を持ってマリアの前に立った。


「あの、こんなにたくさん、頂けません!…ロバートさん、本当にすみません。
本当に、服は頂けません!」


マリアはロバートに全て押し付けた。


「…お前、俺を親切な近所の村人、とかおもってないだろうな」


ロバートは押し付けられた服を受け取らず、マリアの顔をみた。


「え、そうですよね?」


「お前の頭ン中はお花畑か!」また一発、脳天に食らう。



「痛ぁ…じゃあ、ロバートさん。
あなたは誰なんですか?」


「誰も何も…お前の執事だ。」


「え!?あの…羊って…
そういうプレイ、でしたっけ、
私はあまりわからないので…」


「ド阿保か!執事だ!
要するにお前のお世話がかりだ
お前のようなお花畑で育ってきて何もわからないお金持ちのお嬢さんに
ご奉仕するのが俺の仕事だ!」




ロバートは押し返されたものを手に抱えた。



「えっ、あなたは私のお手伝いをなさると…」


マリアは困惑していた。
何せ、今までは自分が召使いだったのだから。