「水以外の…」

「えーっと…
ごめんなさい、オレンジジュースしかありませんでした…」

冷蔵庫のものをあさって、買いだめしていたものが出てきたが、これはロバートの口に合うとは言えまい。

「それでいい」


「いいんですか!?」


「早よ飲ませろ」


ロバートは高熱のためか、
口数が少ない。

面倒なのでそれで我慢しておこう、
という感じだろうか。

マリアはロバートにオレンジジュースを手渡した。


ロバートは、甘いオレンジジュースを一口で半分以上飲み干した。


「ぷはー」

ペットボトルを投げ出すと、
ロバートは布団に潜り込んだ。

「こんなに飲むとは…」

いくら喉が乾いていたとはいえ…
大の大人が飲むには甘すぎやしないだろうか。


「ロバートさん、大丈夫でしたか?」

「なにが」

「あんなに甘いの…無理して飲まなくていいんですよ。ブラックコーヒーでももってきますから」


「いい。グレープジュース」

ロバートは布団の中から答えた。

「はぁ…」

冷蔵庫にはないから、買い出しに行かなきゃな。

マリアは不思議に思った。

執事は常にブラックコーヒーを飲んでいるものなのに…

その理由は、提供されるから、というだけだ。執事にはブラックコーヒー。
そう決まっている。

ロバートさんって、味覚は子供なのかも


「コンコン」

「はーい」