「誰も愛してくれなかったんですね」

ロバートはその事に傷つき、悲しんだ

「誰も愛せなかった」

俺はお嬢様を愛するなどできなかった。

子供みたいで包容力のないただのお手伝いだと言い当てられた。

いじめがあったこと、それに気付きさえせず、打ち明けてさえもらえなかった。

執事として失格だった。






マリアは、ロバートの手首についている
ブレスレットを撫でた。

「これは…あなたの両親からもらった大切なものでしょう?だから、あなたは今まで大切に身につけてきた。」

「さぁな」

俺はこんなもん捨ててやっても構わない。

「ご両親に会いに行きませんか?」

「…」

ロバートは黙りこくった。

嫌とも言わなかったが、うなずくこともなかった。


俺を隔離していた両親が俺に会おうとするだろうか。
そもそもどこに住んでいるのか。
消息もわからない。