俺のペットはプリンセス〜プリンセス・マリアと王子のキス〜



「わかった。お前はその本を愛していて、その話も疑いなく信じているということだな。」

「はい。生きる希望として、です」

「俺は…そうは考えられなかった。」

「何故ですか」

「あまりにも、現実味がないから」

ロバートはいつもは鉄板が背に入っているのではという程真っ直ぐに保たれた背筋を曲げた。猫背。もはや猫か?

そして、ベッドの縁に腰掛けた。
マリアもジャッキーを抱え隣に
腰掛ける。

「俺は…親の顔も覚えてない」



手首のブレスレットを触る。
ロバート・ハドソンと名前が掘られた、
金色の輪っかが手首にはまっている。

「多分、これは俺が生まれた日に両親がくれたものだ。」


「素敵」

今までずっと身につけているなんて。
マリアは純粋にそう思った。

「でも、これ以上のものは与えられなかった。狭い塔で一人暮らし。
塔の本や母親の本も読み漁った。
婆さんがたまに食料をくれる。
でも、誰も話しかけない。
俺はまるで透明人間だ。
愛されもせず教育もうけず、
顔も覚えてない両親と隔離された。

魔法やファンタジーの世界に逃げ込んだ…でも現実は何も変わらない。
本の世界は、所詮本の中。

俺は…ただの親知らずで軟禁された
野生の子供だ。

教育なんか受けてねぇんだからな。
俺は…愛も優しさも勇気もない。
教えられないで育ったんだ。
俺は…愛を知らない」