校舎からのジャッキーの声は響いていて、どこにいるのかわからない。

きゃー!という複数の生徒の声も聞こえる。

ここにいるお嬢様は犬を見たことがない者も多いので、初めて見る者にとっては恐ろしいだろう。

「早く捕まえないと…」

マリアは慌てていたが、ロバートは既に校舎の中へ走っていた。

「待ってくださいよー!」

廊下にはいる気配はなかった。



「くそ、どこ行ったんだよ」

ロバートは教室を片っ端からさがすことにしたらしい。

各教室を手分けして探した。

授業前の教室にはちらほらと生徒が集まっていて、おしゃべりが始まっていた。


「犬を見ませんでしたか!?」

「犬…?見ました?」

「さぁ…」

「犬ってなんですの?」

「失礼しました」

マリアはその教室を走り去った。



「わんっ!わんっ!」


「なにかしら…」

オックウード校長は席を紅茶を飲んでいた。


校長室のドアをカリカリと削るような音と、わんっ!という声がしたので、席を立った。


ドアを開けると、そこには犬がいた。


「わんっ!」

「きゃあ!」


犬は校長に飛びかかって、
校長は尻もちをついた。

「何で学校に犬が!?」


ここら辺は野良犬も野良猫も少ない。
不思議に思っていると、首輪が付いていた。



「ジャッキー…」


「わんっ!」


犬は尻尾を振り、校長の上でおとなしくなった。



「これは事件ね」