アマンダは、ロバートをすぐにクビにしてしまった。
「あんたって子供だし、仕事はできるけど包容力がない。本当にただのお手伝いって感じ?…まぁ、とにかくあんたは
幼いのよ」
アマンダによると、そういう理由らしい。
俺には全くわからなかった。
何が幼い、何が包容力がない?
わからない、わからない
お嬢様なんて嫌いだ…
そう思うようになった。
しかし、ロバートが多くのお嬢様に触れて分かったことは、心を無にして、
相手の要求に応え続けていれば、
まずクビにはされないということだ。
たくさんの本を読み漁り、
技術を身につけ、お嬢様を丁寧に扱い、
頭に手を置いて撫でてやれば、
喜んでくれる。
それが何故かはわからなかったけど、
それが喜ばれるのだということだけで
十分だった。
ロバートはお嬢様の頭を撫でるという行為を誰にでもやった。愛情は特に無かった。
やがてロバートが18、19、20
と大人になると、もう首にはならず、
1人のお嬢様に3年間仕えるくらいの実力はあったし、子供とも言われなくなった。
「次、私と交換してね!」
自分のお嬢様とその友人が、そんなことを話していた。
「あの、交換って…」
「ごめんなさい、ロバートさん。
ロバートさんは人気だから、交換しないといじめられるの…。分かって。」
あるお嬢様に、そんな風に言われた。
俺は人気?
そんなことはどうでもいい。
いじめさせたりしない。
守ってあげるのに。
信用してくれないのか。
いじめが怖いからって交換する?
いや、違う。
元々、実際にいじめられなきゃ、
いじめが怖いなんて思わない。
…まさか
部屋に戻って、お嬢様に聞いた。
「いじめられてたんですか」
お嬢様は泣き出した。
ごめんなさい、黙っててごめんなさい、
と謝られた。
俺はなにをやっていた
一日中くっついていたはずなのに、
いじめに気づかなかった
そして、お嬢様はそれを黙っていた。
…なぜ。
「なんで言ってくれなかったんですか」
俺は胸が苦しくて、何かがこみ上げる。
なんで、
なんで信用してくれなかった
「言ったら…困らせちゃうから」
お嬢様はそれから何も言わず、
俺を他と交換した。
俺を思うからこそ、自分を犠牲にする?
お嬢様が、執事に迷惑をかけないために…
そんな執事、執事じゃない



