俺は3歳まで普通の子供だった。
「かわいいわね、ロバート」
母親の顔はぼんやりと覚えている気がする。父親はまったくわからない。
2人の消息すら、俺にはわからない。
ただ、ロバート・ハドソンという名前のついたブレスレットが、常に手首に付いていた。
今思えば、それは首輪のようなものだったのかもしれない。
俺は彼らにとっては家畜のようなものになった。いつからかは分からないが、
おそらく4歳頃から、狭い塔に閉じ込められた。
毎朝塔に上がってくるのはばあさん。
祖母だ。
「おはようロバート、新しい本とサンドイッチよ」
「やった!」
ロバートは祖母が持ってくる母の本と、
手作りのサンドイッチが毎日の楽しみだった。
塔の中は狭かったが、それほど苦しくはなかった。でも退屈で窮屈で、
孤独だった。
ばあさんは渡すものを渡したら帰ってしまうし、朝から晩まで1人で本を読むばかり。