_______2章 学校と執事











声がしたのは窓の外。



「…誰なの?」


マリアは窓に身を乗り出した。


「ここよ」


「きゃあっ!」


突然、後ろから声がし、振り向くとそこに…


「あなた…誰?」


青いドレスのような衣服の中年の女性がいた。



「私はあなたを助けに来たのよ。」

女性はマリアの部屋をキョロキョロ見回している。


「どっ…どこから入ってきたの?」
マリアは窓際からベットの上まで後ずさりした。

「んもぉ、細かいことは
気、に、し、な、い☆」


そういうと女性は突然マリアのマグカップを取った。




「ちょっと借りるわよ。えいっ!」



女性は人さし指をカップに向けて振ると、指先からキラキラした粉のような物が飛び出し、カップを包んだ。


「なっ、なに?その粉。」



マグカップは粉がかかるとバスタブくらいの大きさになって宙に浮き、くるくると回転し始めた。



「うん、まだ粉は使えるみたい。
もう私も年だから、魔力も衰えたかと…」


「魔力…?あなたまさか、魔法使い!?信じられない!」

だが、その粉は確実に現実のものではなくて、なにか特別な輝きをもっていた。




「あら、そこのドレスも良いわね。
ピンク…いいえ、このいろにしましょ。」


マリアにドレスが着せられ、粉をかけられる。


「ビビディ・バビディ・ブーー!」


魔法使いはマリアに向かって粉をかけ、
マリアのピンク色のドレスはたちまち豪華な水色のドレスに変わった。




「まぁ!素敵よシンデレラ。
これであなたはもうプリンセスだわ。
でもあなた、女子学校に行って修行するんだったわよね。」




「ええ…こんなドレスが着れて嬉しいけれど、私は学校に行く道も分からないし、そもそもお母様が許してくれないわよ。」





「私が連れて行ってあげるわよ。
魔法を使ってね。えーっと、
このマグカップは座席にして、そこの小鳥さん達を馬にするわ。それでそのネズミさんは運転手ね。


ビビディ・バビディ・プー」



ーーボンボンッ


庭には馬車のような魔法の乗り物が出来ていた。



「さぁこの馬車で学校まで行けるわ。
魔法は12:00ぴったりまでよ。
馬車やあなたのドレスもその時に消えてしまうからね…」




「ありがとう!魔法使いさん」



「バイバーイ!」



シンデレラは馬車に乗り込み、清掃服と一切れのパンを持って夜道を進んだ。