1章 宝石の夢
「幸せ…」
ここは私の城。
大理石の床。
赤いカーペットで包まれた階段を登ると、
ティアラが飾られている。
ティアラを頭に乗せた私は
魔法の粉に包まれ、
みすぼらしい姿をプリンセスの
ドレスに変えられる。
それを見つけたある国の王子は、
膝まづき私を誘う。
「あなたのように美しい方は初めて見ました。
よければ…踊りませんか?」
美しいドレスの少女は王子の手を取り、
一礼する。
2人は体を支え合いながら、
優雅な音楽に合わせ
円を描きながら踊る。
まるで雲の上のよう。
少女は王子のたくましい胸に頬を
寄せ、目を閉じて呟く。
「なんて幸せ…」
幸せな暮らしを祝福する12時の鐘は、
いつまでもなり続ける。
ボーン ボーン ボーン
ボーンボーン
「マリア!」