『よーし、みんな!今日も一日よろしくな!!』

『よろしくお願いします!!』



 団長の掛け声で、練習という名のパフォーマンスが幕を開ける。ウチのサーカス団は入団希望者の見学も許可しているから、隅の方で身を潜めて、目を輝かせながらこちらを見つめている人達が何人も居た。その多くは、二十歳に満たない子供達だ。

 クロムのジャグリングにも、イエナの火の輪くぐりにも、リー達の一輪車パフォーマンスにも、見学者達は歓声を上げる。バランスボールを使ってのピエロの玉乗りに、子供達は大興奮だ。彼らを見ていると、自分が入団する前のことを思い出す。

 間もなく、団長が私に視線をよこしてきた。そうか、出番だな。そう思い、今一度衣装を正した。



『ソニア!悪いんだが、“あの衣装”に着替えて出てきてくれるか?』

『え、構わないけど……あれは本当に、まだ練習中で……』

『だから、だよ。これをきっかけに、この子達が入ってくれるかもしれない。君のステージを手伝いたいと言ってね。』