los episodios de suyos

『……また会っちまったな。』

『そうね、奇遇だわ!ねぇ、あの時私が言ったことを覚えてる?』



 セリアが無邪気に問いかけてくる。頷いて、答えを返す。



『友達になって、だろ?あんた、オレと友達になっても良いことは一つもないぜ?』

『あら、友達に利益や対価を求めるのがあなたの持論?ギブ&テイクをお望みなら、私の方の条件は満たされてるわよ。ギブは助言だし、テイクはスリリングな生活だわ!』



 頭が良いんだか、変人なんだか。ハキハキとした物言いのカナリアは、可愛らしい声で語る。その不思議な言動や雰囲気に、もしかしたらオレは、出会った瞬間から惹かれていたのかもしれない。



『……オレのテイクがあんたの助言なら、ギブはその助言を不当な手段で受けようとしたり、金儲けに使おうとする奴らからあんたを守ることだな。これで“友達契約”は成立か?』

『やだ、怒ってるの?対価が必要な性格なのかと思っただけよ。違ったなら謝るわ。
そういえば、あなたの名前は?』



 セリアの微笑。何処の誰かも分からない奴なのに。気付けばオレは、名乗っていたのだった。



『……グレイだ。グレイ・サンダース。』