los episodios de suyos

 今まで年寄り臭い口調で話していた占い師が、急に自分と年の変わらない女のような台詞を口にしたので、少し疑問を感じた。だが、そのモヤモヤが消える瞬間は意外にも早くやってくる。



『あなた、やっぱり面白いわね。』

『え?』



 いつか誰かに言われた台詞。オレを示す人称の変化。まさか……いや、でも。ジレンマを抱えた頭で、とりあえず尋ねてみる。



『……あんた、こないだよりもっと前にオレと会わなかったか?声が随分違うから、人違いかもしれねぇんだが……』

『いいえ、合ってるわ。セリア・ハーツを忘れたの?お兄さん。』



 突如聞こえた、ハキハキと喋るカナリアのような声。目の前の占い師がベールと衣装を脱いだ時、オレの疑問は解決し、欠けていた最後の1ピースをはめ込んだパズルのように気分がスッキリしたのだった。



『お前……!あの時の変な女!!』

『やぁねぇ、失礼よ!でも、そういう面白い所は好きだわ。』



 変装の下から現れた、腰までを覆う長いブロンドヘア。ウォーター・ブルーの瞳。声の印象が強すぎて他のことが思い出せなかったが、はっきりと理解した。彼女――セリアと占い師が、同一人物なのだと。