来る日も来る日も、色々な場所を当たった。あの路地裏から忽然と姿を消した占い師は、もはやイギリスに居るのかどうかも怪しい。力ない、ボソボソとしたアメリカ英語が懐かしく感じる。あの忠告を口にした時だけは、少しだけ明瞭に聞こえた気がするが。

 あの占い師にお礼が言いたい。その一心で、任務のない日はひたすら街を捜索した。何処に行っても会えない。もう、良いか。諦めかけた、そんな時だった。見覚えのある後ろ姿を、アイスクリームの屋台の隣に見つけたのは。



『おい、あんた!』

『……おや、いつかの銀髪のお兄さん。生きてたのかい。ちゃんと助言に従ってくれたんだね。』

『あぁ。あんたにお礼が言いたくて、ずっと探してたんだ。本当に助かった。ありがとな。』



 ウォーター・ブルーの瞳が大きく見開かれた。多分それは、驚きの表情。占い師は暫く黙っていたが、やがて口を開いた。



『……私を、ずっと探してたのかい?』

『だから、そうだって言っただろ?あんた凄ぇな!魔女の末裔か何かか?』

『怖がらない、の?』

『怖がる?どうしてだよ。人の役に立つ、立派な能力じゃねぇか。』