威厳のある低い声が耳を貫く。その隣で一礼した女に、周りの男達が恍惚の溜め息を洩らした。
胸元まで流れるように伸びた、艶(つや)やかな漆黒の髪。強い意志を秘めた黒真珠の瞳。軽く結ばれた真朱(しんしゅ)の唇。透き通るような白い肌が、黒のイブニングドレスによく映えている。
――ゴクリ、と喉が鳴りそうになった。細くしなやかな腰元とふくよかな胸を、ぴったりとしたドレスが覆っている。ストールも羽織らずに惜し気もなくさらけ出された華奢な肩も、少し離れた場所から見ても十分すぎる程に魅力的だった。
『……美しいですね、彼女。』
『あぁ……だが……』
ただ美しいだけではない。大勢の前でのスピーチに全く動揺せず、堂々たる態度を崩さない。客に愛想を振り撒くような媚びた仕草や言動をしない代わりか、何気ない動作の一つ一つが麗しい。
――彼女の戦う様を、早く見たいと思った。この場で銃を彼女に向けてしまいたい衝動に駆られる程に、酷く興奮していた。
あの姿は、返り血を浴びても尚、美しさを失わないだろう。いや……むしろより一層妖しい輝きを増すに違いない。
胸元まで流れるように伸びた、艶(つや)やかな漆黒の髪。強い意志を秘めた黒真珠の瞳。軽く結ばれた真朱(しんしゅ)の唇。透き通るような白い肌が、黒のイブニングドレスによく映えている。
――ゴクリ、と喉が鳴りそうになった。細くしなやかな腰元とふくよかな胸を、ぴったりとしたドレスが覆っている。ストールも羽織らずに惜し気もなくさらけ出された華奢な肩も、少し離れた場所から見ても十分すぎる程に魅力的だった。
『……美しいですね、彼女。』
『あぁ……だが……』
ただ美しいだけではない。大勢の前でのスピーチに全く動揺せず、堂々たる態度を崩さない。客に愛想を振り撒くような媚びた仕草や言動をしない代わりか、何気ない動作の一つ一つが麗しい。
――彼女の戦う様を、早く見たいと思った。この場で銃を彼女に向けてしまいたい衝動に駆られる程に、酷く興奮していた。
あの姿は、返り血を浴びても尚、美しさを失わないだろう。いや……むしろより一層妖しい輝きを増すに違いない。



