「いやあ~♪ダンナ~
惜しかったね~♪
あと5匹だったのにねぇ♪」
少しも惜しかったなどと思う筈の無い金太郎が、祭にうわべだけの労いの言葉をかける。
祭は、呆然とした顔で
まだ破れた網を見つめたままでいた。
「そんな…あんなに練習したのに……」
「祭さん…」
シチローも子豚もひろきも、気の毒過ぎて祭にかける言葉が無かった。
てぃーだはと言えば、拳を硬く握ったまま、下を向いていた。
あれだけ盛り上がっていたギャラリーでさえも、今ではすっかりシラケムードに変わってしまい…これではまるで“お通夜である。
「なんだよ…結局、誰も賞金取れずじまいかよ…」
あんな出来事の後である…これからまた賞金にチャレンジしようなどという客も現れる筈もなく…金太郎はここら辺りが店仕舞いの良い頃合いだろうと、身の回りの片付けを始めだした。
(いやあ、今日は大繁盛だったな♪20万は稼いだんじゃないの~?)
表通りに背中を向けて、金太郎は嬉しそうな顔で売上金の勘定をしている。
「いち、にぃ、さん、しぃ、ごぉ……」
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