チャリパイ10~産業スパイにご用心~


金太郎が水槽に“四天王”を放ってから、祭は全く金魚をすくえなくなってしまった。


今まで落ち着いて金魚すくいに没頭していた祭であったが、その顔にも段々焦りの色が見えてくる。


そして、時間ばかりが刻々と過ぎたが、打開策は何も見いだせないでいた。


「クソッ!一体どうすればいいんだ!」


網を水面すれすれの位置に構えたまま、次に狙う金魚を決められずに祭は固まってしまった…


その時。背後から不意にてぃーだの叫び声が聞こえた!


「祭さん!いけない!
網を水槽から離して!」



「えっ?」



てぃーだに何を言われたのかを理解した時には、既に遅かった…















祭の持った網は、まるで水族館の“イルカの火の輪くぐり”のように、勢い良く水面から飛び跳ねた四天王によって無惨にも破られてしまったのだ!


「ああぁぁぁぁ~っ!」