あゆみの記録を抜き、まだまた余裕のありそうな様子の祭。
危なげ無く淡々と金魚をすくい上げ、その数は
15匹を数えていた。
「あと5匹!
あと5匹!」
ギャラリーからは、賞金10万円までのカウントダウンが手拍子と共に始まり出した。
(マズイな…)
さっきまで笑顔だった店主の金太郎の顔が、徐々に曇りだした。
紙を庇いながら冷静にゆっくりと金魚をすくい続ける祭には、僅かな隙も見られない…
このままでは、確実に
20匹の金魚をすくい上げてしまうに違いない。
賞金10万円はなんとしても阻止したい金太郎は、ここでついに“最終手段”に出たのであった。
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