祭のすくい方は、あゆみのそれとは少し違った。
気に入った金魚を追いかけてすくっていたあゆみに対して、祭は網を構えたままじっと金魚が浮いて来るのを待っていた。
「なんかさ、祭さんよりもあゆみちゃんのがペース速くて上手かったんじゃないの?」
一匹をすくうのに時間をかける祭の様子を見て、シチローがそんな事を呟くと…
「いえ、あれで良いのよ。少しでも紙に負担をかけない為には、あの方法が最善なの」
腕組みをしたてぃーだが、冷静に解説を付け加えた。
そして、そのてぃーだの言葉を裏付ける様に、祭はゆっくりながらも着実に金魚の数を増やしていくのだ。
「おお~っ!あのオッサン、知らねえ間にもう
10匹すくっちゃってるぜぇ~!」
ようやく祭の凄さに気付いた一人のギャラリーが驚きの声を上げると、場内は一気に盛り上がった。
「オッサン~♪あと10匹だ~♪頑張れ~っ!」
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