そんなてぃーだの心配は、見事に的中した。
あゆみが9匹の金魚をすくい上げ、10匹にさしかかろうとした時である。
「あっ!!」
あゆみが持ち上げた網の上の金魚が暴れ、その衝撃に耐えられずに、ついにあゆみの網の紙が破れてしまったのだ。
「ああ~っ!惜しいっ!」
大勢のギャラリーから、ため息が洩れた。
「いやあ~♪惜しかったねお嬢ちゃん♪ハイ、金魚9匹、新記録だよ♪」
10万円の賞金を逃れた金太郎が、憎らしげな笑顔ですくった9匹の金魚をビニールに分けてあゆみに手渡した。
しかし、それでもあゆみは大満足だった。
「わ~い♪キンギョさんもらっちゃった♪」
そんなあゆみに、会場からはどこからともなく、温かい拍手が贈られていた。
「偉いぞあゆみちゃん♪9匹もすくえたら立派なもんだ~♪」
こんな人情味溢れた光景は、金太郎の店始まって以来ではないだろうか。
脇で見ていた金造も、この時ばかりは満足そうに頷いていた。
「そうじゃ、祭りはこうでなくっちゃいかん♪」
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