チャリパイ10~産業スパイにご用心~


「お嬢ちゃん、やるねぇ~♪これじゃあオジサンとこの金魚全部すくわれちゃうよ♪」


そう言って、表向きは
あゆみの健闘を称えてはいるものの、内心、金太郎は焦っていた。


(何だこの娘は…このぶんじゃ10万円取られちまうぞ…)


あゆみはハイペースで次々と金魚をすくい上げ、今までの最高記録だった5匹はいとも簡単にクリアしてしまった。


「よ~し♪あゆみちゃん♪こうなったら賞金10万円ゲットだあぁ~♪」


シチロー達の声援から、あゆみの名前を知った他のギャラリーの口からは、自然と『あゆみコール』が発せられていた。



「あ~ゆ~みっ!
あ~ゆ~みっ!」



「ねぇティダ♪このぶんじゃ、あゆみちゃんが
10万円取っちゃうんじゃないの♪」


そう言って、シチローが興奮した満足そうな笑顔でてぃーだに話し掛ける。


しかし、てぃーだはあくまでも冷静だ。


「ここまでは順調…だけど油断は禁物よ。水に浸ける回数を重ねる事に、着実に紙の強度は落ちているわ…」