「こらぁ~!お前ら勝手に他人の所に荷物下ろすんじゃね~~っ!」


「えっ?誰の場所とか決まってんの?」


古新聞を抱えたまま、キョトンとするシチローに、えらい剣幕で怒鳴り散らす男。


「ここは俺専用の場所だ!
お前ら、さっさとどこか行きやがれっ!」


持ち上げた古新聞を荷台に戻し、シチローが口を尖らせる。


「ティダ。ここじゃダメらしいよ…他を捜そう」


不満げな顔をしながらも、シチローは、車に乗り込みエンジンを始動させた。


「ここじゃないとしたら、きっと反対側の倉庫の方じゃないかしら。シチロー」


走り出したトラックの助手席で、そう話し掛けるてぃーだの横、憮然とした表情でハンドルを握るシチロー。


「…………」


「シチロー?どうしたの?」


「おかしいと思わない?」


「何が?」


シチローは車を止め、納得のいかないといった顔で、てぃーだ向かってこう言った。


「古新聞置くのに、『俺専用の場所』なんてあると思う?
まるでオイラ達にあそこに居られちゃ困る様な感じだったな…アイツ……」


探偵のカンというやつだろうか?…シチローは、トラックのドアを開けて、運転席から片足を下ろしながら先程の置き場の方を振り返った。


「悪いけど、これ1人で持ってってくれない?
オイラ、さっきの場所に戻ってこっそりと探りを入れてくるよ…もしかしたら、今回の依頼と関係があるかもしれない」


「だったらアタシも行くわ」


しかし、シチローは助手席から身を乗り出すてぃーだを制して言った。


「いや、オイラ1人で大丈夫!ティダは、トラックを動かしといてくれ」


シチローにそう言われ、助手席から運転席へと移るてぃーだ。


「わかった。じゃあ先行ってるからね…シチロー」


トラックを降りたシチローはニッコリと微笑んで、てぃーだを見送った。