ピピピピピ
「んん...」
目覚ましを止め、しばらく動かないでいると、下にいるお母さんから
「橙夏ーー!!起きなさいー!」
「...起きてるー!」
「じゃ、早くおりてきなさい」
朝からお母さんと喧嘩になる前に、私はベッドから出て、制服に着替えた。
寝ぼけているからか、靴下を表裏、逆に穿いたり、スカートを上からはこうとしたりして、自分でも驚いた。
髪の毛をポニーテールにするのにも時間をかけてしまった。いつもならすぐ出来るのに...
やっとのことで下におりると、お母さんは洗濯物を干していて、お兄ちゃんは髪の毛をセットしていた。
「今日はお兄ちゃん早いんだね」
「いや、お前が遅いんじゃね?もう7時半だけど。」
「......え?」
「だから、7時半。俺はもう出るけど。お前今日遅刻すんじゃねぇの?ドンマーイ」
「えええええ!?7時半!?」
「おう。じゃ、俺行くわ」
「行ってらっしゃい!!」
喋りながら私はパンを口に押し込んだ。
時々、喉につまらせながら5分で食べ終えた。
「お母さん!もう行くね!」
「あ、はーい。行ってらっしゃーい」
「いってきまーす!」
バタンっと大きい音を聞いて、私は全速力で学校へ急いだ。
「はぁ...はぁ...はぁ...」
「あれ?橙夏。今日はいつもより早いんじゃない?」
「え?」
教室の扉を開けたとき、目の前に彩花が立っていた。
そんなことより、
「...8時...5分...?」
「うん。いつも20分くらいに来るのに」
「...うそ......」
「てか、何でそんなに息荒いの?」
「いや...別に?」
遅刻だと思って全力で走ってきたらいつもより早くついちゃいましたなんて...
言えない...。


