恋変。〜恋して変わる。〜


前半終了間際、私と原田さんがシュートを決めた。
でも、やっぱり相手チームは強くて点差は12点もある。


このままだとどんどんひらいていく一方だよ...

それに...少し体がだるい...


「橙夏??大丈夫?」

「え?あぁ、大丈夫!!」


バレたら出させてくれなさそうだし


「あぁ~やっぱり強いねー」

「そうだね~...」

「泉さん...ほんとに大丈夫なの?」

「そうだよ、具合悪そうだよ?」

「そんなこと...ないよ」


私が立ち上がろうとすると、彩花が止めた。


「...橙夏。無理はダメ。後半の出だしは多戸さんと代わって。良くなったら、また出てきて。」

「......」


なかなか頷かない私を見かねて、原田さんがこういった。


「泉さん!今は少しだけ休んで、後半、巻き返そ!」

「原田さん......うん。頑張ろう!!多戸さん、交代お願いします!」

「は、はい!!お役に立てるかはわからないけど、頑張ってくる!」

「うん!!」



まるで、青春物語みたいだけど
こんな日常って、送ったことなかった。

こんな気持ちなんだなぁ...


後半開始の笛が鳴り、ボールはまたもや相手に。
そこからシュートまでの動きは軽やかだった。

でも、ここで諦めるような子達じゃないんだよね


その後すぐ原田さんがボールを出して、国保さんへと繋がれた。

多戸さんは戸惑い気味で、あまり動けていない。
焦ってるのかな...
確かに、私も慣れなかったなぁ、試合の時は。
あの、妙な緊張感がすごく嫌で、何度も何度も休みたいって思った。

でも、

結局はやって良かったって、思っちゃうから、ダメなんだよね...



少し私が考え事をしている間に、宮部さんがシュートを決めた。


やった...!!この調子!


でも、その後、多戸さんへボールが回る度にカットされてしまい、上手くボールが繋がらなくなってしまった。

...よし。


グッと力を入れて立ち上がって、私は交代することにした。



「...彩花!交代!」

「え?」

「交代!!」

「あ、え、うん!分かった」


彩花と交代し、私は再びコートに出た。
私がコートに出た時、すぐにボールが回ってきた。

少しドリブルをついて、相手のゴールへ近づく。
多戸さん...はディフェンスが付かれてる...

てことは、国保さん?


「国保さん!」

「はいっ」


ゴール下にいた国保さんにパスが回った。

国保さんはそのままシュートを打ち、私たちのチームに点が入った。




このまま私たちの試合は五分五分なまま進んでいき、ラスト1分。

多戸さんがシュートを2本決めて、私と国保さんでどんどん攻めた。

でも...やはりバスケ部3人には敵わず、試合は42対39で負けてしまった。



「はぁ〜つかれたぁ〜」

「でも、がんばったよね!!多戸さんもシュート決めてくれたし、何より泉さんが司令塔で頑張ってくれたおかげだよー!!」

「いやいや、私のシュートが入ったのはまぐれですし...」

「そんなことないと思うよ?ね?橙夏?...橙夏?」



彩花の声がどんどん遠くなる...ううん、彩花の声から私が遠ざかったんだ。


フッと体の力が抜けて、私は床に倒れた。

床の冷たさを感じた後、すぐに私は気を失った。