恋変。〜恋して変わる。〜




「ダメに決まってるでしょ。」

「お願い!!だって最後のクラスマッチだよ!?」



案の定、夕飯の時にお母さんに話したけど即反対されてしまった。

だけど今回は譲れない。

前みたいには...なりたくない。


「ねぇ、お母さん。私の体調ならもう平気だよ!少し咳は出るけど、熱もないし、元気だよ!?」

「咳が出るだけでもダメよ。他の子に移したら大変なんだから」

「そんなぁ...」


最後なのに...それに...
その時だった。私に救いの手が


「まぁまぁ。母さん。橙夏もこんなにやる気出てんだぜ?やらせてやろう。マスクでも何でもさせてさ、自分の出る時だけ出させてもらってあとは保健室でもかまわねぇんだろ?」

「お兄ちゃん...うん!そうだよ!お母さんお願い!!」

「...まったく。勝手にしなさい。でもエラくなったらすぐに休むこと。いい?」

「!!うん!約束する!ありがとう、お母さん!」


「わかった分かった。じゃあ早く寝なさい。」

「はーい!!」


今回はお兄ちゃんのお陰だなぁ...
後でお礼しに行かないと...
そんなことを考えながら、私はお風呂に入った。





──────コンコンとノックの音がして、ドライヤーのスイッチを一旦止めた。


「はーい、いいよ」

「おっす、今回はノックしたぞ?」

「うん、学習したね!」


うるせー、とベッドにぼふっと座るお兄ちゃん。
...いやいや。何の用??

私なにかしたっけ?...あ!
さっきの夕飯の時のことかな?


「えっと...さっきはどーも。」

なんか、お礼いうの照れる...


「なんだその言い方、冬樹君のお助け料は一回五百円でーす」


お金とるの!?救いの手じゃなくて金取りの手だよ...


「っていうのは冗談で、あんなに必死な橙夏みたの久しぶりだったから、お兄ちゃんが助けてやっただけだ」

「そんなに必死だった?私」

「おぉ、小学校の運動会以来だな。あんな顔みたの」

「ふーん...お兄ちゃん。」

「なんだー?」

「もう寝たいんだけど」

「は?ここはお礼言うとこじゃないわけ?」

「早く部屋に戻ってよー!」

「...はいはい。おやすみー」

「おやすみっ!」


ドアを閉めた後、本当に、本当に小さい声で


「.........ありがと」



って言っておいた。お兄ちゃんには聞こえない声のはずなのに、


「いーえ!」


なんて...お兄ちゃんにはまだまだ敵わないなぁ








その日から私は5日も休んでしまった。
原因はインフルエンザだ。

でも明日は行けるから、がんばらないと!