恋変。〜恋して変わる。〜

放課後。

練習のために体育館にきたけど、みんなやる気無さそう。
確かにそうだよね。この時期、部活の方が大事かもしれない。高校最後の試合になるかもしれないのにこんなことしてられないって思ってる子も多いだろうしね。

だって私もやる気が出ないから。


「橙夏?大丈夫?」

「え?何が?」

「え、なんか具合悪そう...」

「具合悪いんじゃないよ、やる気が出ないだけ~」

「そう?ならいいんだけど...って良くないわよ。やる気も出しなさいー」


出しなさいって言われてもなぁ...


「泉さん!まずは何の練習しようか?」

「え?あー...シュートとかかな?やっぱりシュート決まんないと勝てないから」

「そっか...だね!よし!みんなシュート練開始!」



原田さんはいつになくやる気があるようで、私はそのやる気の多さを分けて欲しいと思った。
本当にどうしたんだろう。今日の私は。
いつもならやる気なんてすぐ出てくるはずなのに


「...よーし、やろうやろう!」

「泉さんー!シュートのフォームはー?」

「...バスケ部さんの方が的確な指示出せると思うけど...まぁいいや」


私は笑いながら原田さんの元へ走っていった。


...あれ?

もう息が上がってる。少し走っただけなのに...息苦しい
少し原田さんにフォームを教えて、私はちかくにいた宮部さんに声をかけた


「宮部さん、私少しトイレに行ってくるね」

「分かった!」


宮部さんにそう伝え、私は体育館の外に出た。


風はなく、暑さだけが伝わってくる。
いつもとは違って野球部の声は聞こえないけど、代わりに他のクラスの掛け声や笑い声が聞こえてきた。

元気だな...私も早く気分変えて戻らないと



1、2回深呼吸して、よしっと心の中で意気込んで体育館に戻った。
やっぱり体育館の中は蒸し暑かった。
みんなの熱気と混ざって余計に暑い。

彩花も真剣にシュートしてて、宮部さんも国保さんも話しながらだけど練習してた。
ちゃんとみんなやってるんだからやらないといけないよね

「あ、橙夏!一緒にやろう!」

「うん!彩花も真面目さんだよね」

「それって褒めてるの?」



ふふふ、と笑ってごまかして、私はシュートを打った。
その打ったボールはゴールリングに当たり、鈍い音とともに跳ね返った。


少しの違和感はあったけど、気にする事はせず私は練習を再開させた。
この時やめておけばよかったんだ。
そしたら、迷惑をかけることもなかったのに