恋変。〜恋して変わる。〜


朝、教室に入ると川口くんが黒板の前に立っていた。

...何してるんだろう


私が来たことに気がついて、加山と二人で私の元に来た。
正直、昨日のことがあったから身構えていたけど、反応は至って普通。
ていうか、いつもよりテンション高めな感じがする。


「あ、おはよう、橙夏。なんか、朝から加山と川口のテンションがおかしいのよ。急に黒板の前に立って叫び出すし、迷惑極まりないわ」

「彩花...ていうか叫んだの?それは迷惑だね。すごく」

「二人してひでー!!だって聞いてくれよ泉!俺な!俺な!」

「落ち着いてくれる?加山。とりあえず私を席に座らせて」

「おう!でなでな!俺!ついに!」

「うんうん」

「...十八歳になりましたー!」

「.........ん?それだけ?」

「それだけってなんだよー!」


だって、もっと...なんかすごいことがあったのかと思ったら、誕生日って...
なに?おめでとうって言って欲しいのかな?
しょうがないなぁ


「加山クーン、オメデトー」

「ウンウン、オメー」

「お前らひどすぎだろ。さすがに加山がかわいそうだ」


急に会話に参加した川口くん。
少し戸惑ったけど、誰も返事をしないなんて...少し嫌な感じだから


「そんなことないよ。こういう扱いに加山はもう慣れてるもんね」

「あったりめぇよ!...って慣れてないわ!」

「アハハ、加山ナイスノリつっこみね」

「褒められてる気がしないんだけど」


もちろん褒めてるよ。彩花は照れ屋さんなだけ
なんて口が裂けても言えないけどね。言ったらあとが怖いもん!


まだ三人が盛り上がっている時
チラッと緑川君の方を見た。
また...寝てるし...

確かに、あんな時間帯にバイトしてるんだもん。
寝るのも遅いよね。...って、そういえば、メールで聞くの忘れてた。
また、お昼休みにでも聞こうかな?
も、もちろん直接...で、できたらいいけど。
多分無理。だってあの緑川君だよ?
緑川君!無理無理無理。
緊張で心臓はち切れる。



「ちょっと、橙夏聞いてるのー?」

「え?あ、ごめんごめん。なんだっけ?」

「もう...ほら、来週のクラスマッチ。放課後練習するんだってさ!」

「え...それって、絶対参加しなきゃいけないの...かな?」

「うん。あ、そっか。橙夏、衣装とドレス作り...」

「...大丈夫...だよ!なんとかなる!」

「その自信はどこから?」

「あそこら辺!」


どこよ、と少し笑いながら彩花は言う。
うん、大丈夫。だって今までだってそうだったじゃん。
やれば、案外できるもんだよ。


「おいお前ら、席つけー」


先生が教室に入ってきた。私たちは分かれてぞろぞろと席についた。


HRが始まったけど、私は先生の話をほとんど聞いていなかった。
いつのまにかHRは終わってて、みんな次の移動教室の準備をしてた。


あー...今日はなんだかやる気が出ない。