でも…

「でもさ」

司がぽつり言った

「青海、すごい音痴…」

「うっ!ちょ、司くん!」

そう、青海は壊滅的なほど歌が歌えない
前にカラオケに行ったことがあるけど本当に壊滅的な音痴だったのだ…

「ということは自動的に女子のボーカルは美穂
ちゃんになるけど…お願いしてもいい?」

「はい!がんばります」

歌は結構好きだ
声を出すのがすごく気持ちがいいから

「じゃあ男子だけどー」

「あっすいません、1ついいですか?
ボーカルでリードギターってきついっすよ
ね?」

「確かに、そうねー…」

「美穂は?」

「うん…、私リズムの方が得意だし…」

私はリードギターのきつめの音とか出すのが苦手。なのに、それに加えてボーカルでリードってなるとだいぶきつい

「じゃあ必然的に俺がリードになって
俺もリードでボーカルはきついんで、旬でど
うっすかね?」

「うん!俺ボーカルやってみたい!」

智が元気よく言った

「おっけー!
ボーカルは美穂ちゃん、旬くん
サブはどっちがやる?」

「俺、ハモりやります」

「じゃあ決まり!
サブが旬くん」

決まったことがホワイトボードに書かれる

「うん、結構すんなり決まったね
んじゃギターとベースのパート決めちゃおっ
か」

「ギターは俺がリード、美穂がリズムです」

司が進んで言った

「私コードのベースがいいな」

青海がおずおずと言う

「俺も思った!じゃあ青海がコード俺がサポー
トにまわります」

キュッキュッとホワイトボードに書かれていく決まったこと

選抜とか、大学の推薦枠とか
あんまりまだ実感は沸いてないけど
決まったことを見たら少しずつ頑張れそうな気がしてきた

「んじゃ!いろいろ決まったことだし
これからよろしくね!」

梅先輩が元気よく言って
そのまま私たちは解散になった

これから色んな物語ができて
色んな問題が起こることなんて
知らないまま