でも!なぜか、放心状態にならない。

いつもだったら、泣きもしないで、ボーっと固まる。

だけど、今は悔しい。泣く姿なんて、かっこ悪いと思うのに、涙があふれる。

「よく頑張ったんじゃん?泣きたい時には泣け。」
大輔が、私を引き寄せる。

「さっきは、泣くんだったらバスケやめろとか言ってたくせに。」

「あの涙は、情けない涙だったから。
今泣いてる理由は、情けなくなかったって事だよ。」
投げやりな言い方。不器用なのかな。

「あっそ。」
私は、フッと笑った後に、声を荒げて泣いた。

なすがままに、大輔の腕の中で。