「ねぇ、知ってる?」

「それ本当?」

うちの学校ではそんな言葉がよく飛び交う。

噂が大好きで些細な噂でも大事のようにみんな話してる。

本当にみんなっていつまでたっても子供なんだよね。

「違う違う。鼠色のハットだって。」

「えっ?そうだっけ?」

「だから、青い服で黄土色の短パンで鼠色のハットを被った高校生ぐらいの少年を見たら不幸が訪れるんだって。」

「それって本当かな?」

「本当だって。B組の美夏ちゃんだってその人を見たって言ってたよ。」

「えー‼」

「怖っ!」

本当にそんなくだらない噂ばかりするんだから。

「ねぇ、美咲はどう思う?」

私は藤倉 美咲。噂も非科学なものは何も信じていない女子高生。

「わ、私は信じるよ。」

そんなわけないでしょ。もう。

私は憂鬱な気持ちを抑えながら窓からの景色を見ていた。

周りの噂話にうんざりしながら・・・・

キーンコーンカーンコーン

「起立。礼。」

「それじゃ、また明日。寄り道しないで帰るんだよ。」

「はーい!」

「わかってるよ!」

先生のいつも変わらない注意を受けた後女子はいつも変わらない2つ返事をする。

「かったりー授業も終わったし。ゲーセンでも行くか?」

「健児くんに賛成!」

「たまには、女子も一緒に遊ぼうよ?」

「私たちは、これからガールズトークするから暇じゃありませ~ん。」

「つれね~の!」

「じゃ~またな!」

「またね~!」

健児くん達は教室を出てゲーセンへとむかった。

いつものパターンだ。

そしてまた、昼休みの続き。噂話が飛び交う。

「ねぇ、知ってる?」

「何々?」

「うちの学校には7不思議があって、それをすべて知ると学校から出れなくなるらしいよ。」

「うそだぁ~!」

「本当だって。」

「てか、7不思議何々知ってる?」

「確か、夜1人で家庭科室に行くと夜な夜な手首が這いずり回ってるとか。」

「料理が大好きな子が実習の準備中に誤って手首を落としちゃったんだよね。」

「そうそう。」

「ベートーベンの目が動くとか理科室の人体模型が動くとか。」

「なんかありきたりだね。」

「そんなもんなんじゃない?7不思議ってさ。」

「みんなでさ7不思議スポット行ってみない?」

「いいねいいね!」

またそんな非科学的なことを。付き合ってらんないよ。

「美咲も行くでしょ?」

「ちょっと今日は用事があるんだよね。」

「そっか。美咲習い事たくさんしてるよね。頑張ってね。」

「う、うん。ありがとう。」

「ごめん! 私も今日無理だわ。」

「えー、夏菜も?」

「ごめんね?」

「じゃー明日にしようか?」

「そうだね。」

私はそれを聞くよりも前に鞄に教科書やノート。先生からもらったプリントを入れておいて帰れる体勢を作っていた。

「それじゃ、急ぐから。」

「バイバーイ!」

「バイバーイ。」

そう言った後すぐ教室を出て玄関へ行き靴を履き替えて学校を出た。

みんなくだらない噂話ばっかりして何が楽しいんだろ?ありもしないことなのに。

玄関から校門まで距離が長く感じた。

それに今日はニュースで真夏日だってやってたのになぜか涼しく感じた。

そんなことを思っていたら変な人を見つけた。

その人はうちの学校の制服を着ていなかった。

青い服を着て黄土色の短パン。鼠色のハットを被った高校生ぐらいの少年だった。

あれ?

このキーワードどこかで聞いたような?

あっ!

あの噂話。いやそんなはずはない。

私はその少年とすれ違った。

なぜか周りはこの少年に気にも止めていなかった。

すれ違ってすぐ後ろを振り返ったが少年はどこかへ''消えていた。''

「き、気のせいだったのかな?」

私はその夜その事が気になってちゃんと眠ることができなかった。

次の日私はあのことが気になって授業が半分も頭に入ってこなかった。

放課後になって私はいっそうあのことが気になっていた。

「今日こそ7不思議スポット回ろ?」

「いいねいいね!」

「美咲は?」

「・・・・・。」

「美咲?」

「えっ?な、何の話だっけ?」

「だから、美咲も7不思議スポット回るんでしょ?」

いやな予感がしました。

「ごめん。今日塾があるから。」

私はとっさに嘘をつきました。

一緒に7不思議スポットを周ったらもう、戻ってこれないようなそんな気がしました。

私は昨日のことを思いだしまた''あの人''に会えるんじゃないか。そんなことを期待しながら玄関を出て校門まで歩きました。

その日に限って''あの人''に会いませんでした。

気のせいだったのかなと思いながら校門を出てお家へむかいました。

少しあるいたとき昨日の話が頭を横切りました。

「’’青い服を着て黄土色の短パンを履いた鼠色のハットを被った高校生ぐらいの少年が現れると不幸が訪れるんだって''」

頭の中でも何回もリピートされました。

「も、もしこの話が本当だとしたらみんなの身に不幸が訪れるかもしれない。」

私は慌てて学校へ引き返しました。

ドーン

学校が爆発しました。

爆発した場所は理科室のあたり。

確か理科室は放課後に生徒が侵入しないように鍵がかかっていたはず。

なのにどうして?

私は理科室へ走りました。

「みんな~大丈夫?」

「ゴホゴホ!だ、大丈夫だよ。」

そこにいたのは夏菜ちゃんと美雪ちゃんだった?

「一体どうしたの?」

「わからない。いきなりガスの元栓が爆発したの。」

まさか、噂どうり?

「後の二人は?」

「二人ってだれ?」

「えっ?いつもの二人だよ。由紀ちゃんと真美ちゃんだよ?」

「そんな子いないよ。」

「そもそも、私たちはいつも2人だったでしょ?」

夏菜ちゃんは少しクスッと笑いながら答えた。

背筋が・・・・・・凍った。

寒気がしたんだ。

私は学校が火事なのを忘れて教室へ走った。

ガラッ

扉を開けてすぐ机の数を数えた。

「やっぱり・・・・・2つ足りない。」

何度も数えたがやはり2つ足りない。

その後も下駄箱、出席簿すべて確認したがすべて2つ足りなかった。

火の周りがやけに速かった。

まるで、何かを隠ぺいするかのように・・・・・。

私はこの事件の後平穏な生活を送っている。

あの後、私は町役場へ行って戸籍として2人は生きてるんじゃないかと思ったけど戸籍にも2人は存在していなかった。

親でさえも生んだことがないと言っていた。

後で聞いた話だけどあの学校では7不思議をすべて知った人は存在が消えていた。

気軽に噂話をしない方がいいのかもしれないですね。

そう言えば最近よく私は3階の図書室から屋上を見ています。

前まで知らなかったけどこんなところに''窓''があったんだ。









~付けたし~

○1不思議・・・手首が這いまわる家庭科室

○2不思議・・・体育館のひとりでに動くバ
スケットボール

○3不思議・・・音楽室の目の動く肖像画

○4不思議・・・人体模型が動く理科室

○5不思議・・・1段増える階段

○6不思議・・・夜な夜な女教師がさ迷う職
員室

○7不思議・・・図書室の増える窓ガラス