黒い日傘をさした女

俺はホテルを出た。


自動ドアが開くとじわんと熱気が漂ってくる。



俺は駅に向かい電車に乗った。


熱気から冷気の押し寄せる車内。


電車に揺られながら俺は昨夜の事を思い出した。




激しい雷雨から隔絶されたホテルの一室。


ダブルの豪華な部屋。


シャンパンを飲んで裸で抱き合って、寝た。



稲光に見えた由美子の顔。


儚げで切ない顔。


雷に怯えた少女のような瞳に俺はなす術もなかった。



電車を降りて駅を出た。


うだるような暑さ。



アパートに着くとすぐエアコンのスイッチを入れた。


服を脱いでシャワーを浴びた。


頭の中は”三色”の由美子でいっぱいだった。



黒の美蘭(由美子)。


白の美蘭(由美子)。


赤の椿・・?



俺はシャワーの栓を閉めた。


ポタポタ雫が落ちて、バスタオルで体を拭いた。



そのままバスタオルを腰に巻いてキッチンへ行って冷蔵庫を開けた。


ミネラルウオーターを出してごくごく飲んだ。



(だめだ、溜まってる)


俺は煙草に火をつけた。


紫煙を見ると由美子を思い出す。


美しく白い煙をすーーーっとはく。


流れる雲のように漂う煙。



俺は自分のはいた煙を目で追いながら電話をかけた。


呼び出し音が鳴ってすぐに奈緒子の甲高い声が聞こえた。



「もしもし、今からうち来てよ」



と言って電話を切った。