黒い日傘をさした女

その声に俺の体は止まった。


「あっそ」


と言って由美子から離れた。



由美子は手の甲で口を拭った。


「キスだけじゃ不満そうね」


と不敵に笑った。



俺はソファに座りなおして煙草に火をつけた。


「仕事なら仕方ないでしょ」


と言ってやった。



由美子はコンパクトを見ながら紅い口紅を塗った。



「由美子さんてファンデーションしてないの?」


と俺は聞いた。


「うん。塗らない」


と由美子は答えた。



だからだろう。チークも塗っていない。


アイメイクと口紅とグロスだけ。


瑞々しい由美子の白い肌。



俺は残念そうにため息をついた。


「どうしたの?」


とパッと花が咲いたような笑顔が聞いてきた。



「なんでもない。仕事何時から?」


「11時にここのラウンジ」


と由美子は答えた。



「え?ここ?」


「うん」