黒い日傘をさした女

俺達は食後のコーヒーを堪能していた。


「ほんとにここのコーヒーは美味しいね」


と言って俺は煙草に火をつけた。


由美子も唇に煙草を挟んで火をつけた。



お互いの口から出た煙がテーブルの上で絡んで見えた。



由美子も、昨夜何もしなかった事を聞いてこない。


裸で抱き合って眠っただけ。



でもそれがとても価値のある事のように思えてきた。



(やばいな。きっと俺は由美子に・・)




「ねえ、来週の木曜日の夜空いてる?」


と突然由美子が話しかけてきた。


「え?空いてるけど?」


と俺は慌てて答えた。


「ほんとに?じゃあ私と隼人のライブ付き合ってくれない?」


と聞いてきた。


「隼人のライブ?」


「そう。隼人は7時半過ぎに出るんだけど


 渋谷のライブハウス。


 五つくらいのバンドが出るのかな?


 楽しいから行こうよ」


と由美子は目をキラキラさせて言った。



「ほんとに追っかけやってるんだね」


と俺は観念したように言った。



「うん。大好き」


と由美子は笑顔で答えた。



俺の胸は何故かチクッとした。