「・・今何時」


と俺はまだボーっとした頭でバスローブを着た。



由美子はソファに座ってホットコーヒーを飲んでいた。



そして、赤い服を着ていた。



俺は夢の中の”椿”と名乗った由美子を思い出した。



「着替え、持ってきてたんだ」



と俺は由美子の正面のソファに座った。



「汗臭くて二日も着てられないわ」



と言いながら由美子は俺にもホットコーヒーを入れてくれた。




「ありがとう」



と言ってコーヒーを一口飲んだ。



酸味がきいてまろやかで、思わず



「美味しいな」



と言葉を出した。



「ここはね、何でも美味しいの。だから好き」



と由美子は白い煙草の煙をすーっと吐きながら答えた。




本当に煙草を吸う仕草が綺麗だ。



と俺は逆光に照らされた由美子を見ながら思った。





たぶん呆けた顔をして見とれていたんだと思う。