暗く照明の落とされた部屋。



開け放たれたカーテンの向こうでは激しい雷雨。



俺はゆっくりと振り返った。



ピカっと光り、お互いの顔が一瞬はっきりと見えた。



由美子は濡れたような瞳で切ない顔をしていた。



ドーンと轟く音に由美子は俺にしがみついた。



俺は由美子を抱きしめ頭を抱いた。



雷から守るように由美子を包んだ。



ホテルの部屋で抱き合っている男女が何もしないわけない。



でも、俺は出来なかった。



さっきの由美子の目。





あれは欲情した女の目ではなかった。