黒い日傘をさした女

3本目のシャンパンを開けた。



由美子はトロンとした目をしているが泥酔はしていない。


俺がグラスにシャンパンを注ぐと


「ありがとう」


と口をつけた。



俺は自分のグラスには入れないでシャンパンの瓶を置いた。


「もう、無理」


と言って煙草に火をつけた。



「ギブアップ?」


と言って由美子はシャンパンを飲み干した。



俺は煙をはいて


「うん、負けた」


と答えた。



由美子は目を細めた。


「なんだか余裕で煙草吸ってるように見えるけど・・」


と俺を見た。



「俺は顔に出ないだけ。もう酔った」


と答えた。



「そう・・じゃあ私の勝ちね」


と由美子は妖艶に微笑んだ。



(ああ、今にも襲ってしまいそうだ)


と俺は頭の中で必死で理性を呼んだ。



(抱きたい。でも・・その先にあるものはなんだ・・?)


(一回こっきりにされたら俺は地獄へ堕ちるだろう)



今までに感じた事の無い恐怖。



俺は煙草を消してミネラルウオーターを飲んだ。


そして 「お休み」と言ってベッドへ潜った。