黒い日傘をさした女

きゅっとバスローブの袖を掴まれた。


見ると由美子の手が俺のバスローブを握りしめている。



「なに、怖いの?」


と俺はおかしそうに聞いた。


由美子はパッと手を離した。



「違う、音が響くから」


と煙草を口に挟んだ。



俺は窓の外を見る由美子の横顔を見た。


さっきまでの妖艶さが消えていた。


まるで怖いもの見たさの子供のように見えた。


俺は灰皿を持ち替えて右手で由美子の肩を抱いた。


由美子はされるがまま動かない。



ピカッと稲妻が光った。


そして轟音。



由美子はビクッとなった。


そんな由美子の肩をさらに引き寄せた。


由美子は俺に寄り掛かって煙草を灰皿の中に入れた。


「綺麗だけど、音が怖い」


と呟いた。



「美しさと恐怖・・か。なんか面白い小説書けそうだな」


と俺は窓の外を見ながら言った。



「・・ぜひ読みたいわ」


そう言って由美子は俺の腰に腕をまわした。




チャイムがなるまで俺達はそうしていた。