黒い日傘をさした女

アイスコーヒーが運ばれてきた。


「今日も仕事?」


と俺は聞いた。


「んーん。今日はライブ見に来たの」


と由美子はアイスティを飲みながら答えた。



「例の、追っかけの?」


「そう。4時からやるの」


と由美子は嬉しそうに言った。



「今日は暑いから大変だね」


と言って俺は煙草に火をつけた。


「うん。だから日傘にサングラスに日焼け止めクリーム塗って万全よ?」


と由美子は白い日傘を少し持ち上げて見せた。



白い日傘・・。



「何本も持ってるの?」


と俺は聞いた。



「うん、服に合わせてね」


と由美子は答えて煙草をピンクの唇に挟んだ。



「由美子さんが見に来る事知ってるの?」


と俺は煙をはいた。



「もちろんよ。DMでやり取りしてるの」


と由美子もふーっとシャボン玉を吹くように煙をはいた。



「DMってラインじゃないの?」


と俺は聞いた。



「ラインはほとんど仕事用」


と由美子はケロっと答えた。



「え?でも俺とライン交換したじゃん」


とちょっと、いやかなり驚いて聞いた。



由美子は目を細めて


「雅也とは、深い付き合いになるような気がしたの」


と言った。



その目は冗談じゃなく真剣そのものだった。



これには俺も黙ってしまった。



ジッと由美子を見つめてしまった。



「今日、時間ある?」


と由美子が口を切った。



「・・特になにも・・」



「じゃあライブの後デートして。今日は私が奢るから」



と由美子はコロコロ笑った。