黒い日傘をさした女

池袋まで電車で15分。


俺はちょうど来た電車に飛び乗った。


エアコンの効きすぎた車内が気持ちよかった。



そして気が付いた。


(あ、日傘忘れた・・)


肝心な物を忘れた。


でも、また会える口実が出来たと勝手に喜んだ。




池袋に着いて俺は早足であの喫茶店に向かった。


短い距離なのに汗が噴き出てくる。



階段を降りて、カランと扉を開けて店内を見渡した。


席はほとんど埋まっていた。


俺は由美子を探した。



長い髪の黒い由美子・・いない??



ウェイトレスが来て俺は待ち合わせだと言った。


その時、「雅也」と呼ばれた。



俺は声の方を見た。


髪をアップにしてサングラスをかけた白い服を着た女が手を振っている。


「え?」


由美子はサングラスを外して「雅也」とまた俺を呼んだ。



清らかな笑顔で。