俺は藤堂雅也（とうどう　まさや）２２歳、大学４年生。


今は夏。


その日も炎天下だったけど湿気が低いせいかいつもよりはマシな気がした。



俺は池袋ウェストゲートパークで彼女と待ち合わせをしていた。



野外ステージみたいな所で知らないバンドが演奏していてその前に人だかりが出来ていた。



激しくシャウトするヴォーカルときゃあきゃあ騒ぐ若い女の子たち。



俺は鉄パイプみたいな椅子に座ろうかと、視線を向けた。



何人か若い子が座っていて、一番端に黒い日傘をさした女が座っていた。



何故か、その黒い日傘をさした女は異様な雰囲気をかもし出していた。



黒いタイトスカートから見える黒の網タイツに黒いピンヒール。



顔を隠すように傾けている黒い日傘。



近づいて行くと、その女の黒いブラウスの肩が見えた。



まるで喪服のように黒ずくめ。



激しく鳴るバンドの演奏と若い女の子の嬌声。



黒い女は日傘を傾けてジッと座っている。



ただ、興味が沸いた。