集まったメンバーは男子五名、女子四名の計九名。男子を残して女子は食事の準備を手伝うため一階のキッチンへ。
渚ちゃんのお母さんが作ってくれる料理を皿に盛りつけたり果物を切ったり、コップやカトラリーを用意したり。まるで家庭科部の調理実習みたい。
「家から花火が観られるなんていいよね」
「花火の時はいいけど駅からずっと上り坂だから、歩いて家まで帰ったら結構バテるよ」
「毎日いい運動だね、だから渚ちゃん痩せてるんだ」
「違うよ、毎日は無理、バスに乗り遅れた時だけだよ、行く時は楽ちんなんだけどね」
「美咲ちゃんの家は? マンションでしょ?」
「うん、マンションだけど角度が悪いのと、浜手のビルが邪魔して花火は見えないのよ」
「私もそうだよ、隣近所の家とビルに囲まれてるから何にも見えない」
「本当にありがとうね、高校最後の夏休みのいい思い出だよ」
たわいのない会話を交わしながら準備も万端。屋上で騒いでいた男子がタイミングよく下りてきて、料理を運ぶのを手伝ってくれる。

