花火は港の突堤と沖合から打ち上げられる。港周辺の公園や商業施設、ホテルや海上のクルーズ船から観るのが定番だけど、港から山手へと続く緩やかな坂沿いの街並みや住宅地など広範囲から観ることができる。
花火の時間が近づくにつれて街に人が溢れて来た。港を望むビルやショッピングモールの屋上や窓際、マンションのバルコニーや住宅地の中にある公園や川沿いにまで。
みんな花火が上がるのをワクワクしながら待っている。
渚ちゃんの家は港から山手へと続く高台の住宅地の中にあった。勾配のある土地だから遮るものはなく、広い屋上からは海や港の商業施設の灯りがよく見渡せる。
レジャーマットが敷かれてアウトドア用のテーブルの置いてある屋上を見て、集合したメンバーたちは顔色が一変。笑顔とともに屋上へと飛び出した。
集まったメンバーは男子五名、女子四名の計九名。男子を残して女子は食事の準備を手伝うため一階のキッチンへ。

