「私たちは塾の帰りで……」
言いかけた私の隣に貴一が黙って腰を下ろす。
すると渚ちゃんが小さく頷いた。私ではなく貴一の顔をまっすぐ見て、「わかった」とひとこと。
振り向いたら貴一はにやりと笑っただけ。
「ねえ、美咲ちゃんも花火来てくれるよね?」
渚ちゃんはさっきまでとは一変した晴れやかな顔で問いかける。
「うん、私も行っていいの?」
「もちろんだよ、水泳部だけじゃなくって他のメンバーも友達とか連れてくるから気にしないで」
「ありがとう、だったら私もお邪魔させてもらうね」
「よかった、全然お邪魔なんかじゃないから皆でワイワイやろうね」
「買い出しはどうするの? 俺らが行ってこようか?」
ほっとしたところに貴一が割って入ってきた。
水泳部員は三年生の男女合わせても五、六人ぐらいだったはず、全員が友達を連れてきたとしても十数名になるだろうか。みんなで食べながら花火を観るとしたら場所の確保はどうするんだろう。

