すると隼人の部屋の窓も開いていて、隼人と麻友の声が聞こえた。


『あっ、ダメッ』

『でも体は正直だぞ?』

『イジワル言わないでよっ、あっ……』


そんな声が聞こえて私は窓を閉めた。
煩い、煩い、煩い!


何故か隼人はいつも少し窓を開けていて、私がたまたま窓を開けると麻友の気持ち悪い声が聞こえたりが何度かあった。


昔はたまに窓越しに話をしていたが、今では聞きたくない声まで聞こえてしまう。


私は苛立ち鏡の前に座った。


「どうして麻友なのよっ!」


「じゃあ私が協力してあげる。あなたの体を借りてもいいかしら?」


私は少し考えて返事をした。


「わかった……」


「じゃあ私をじっと見つめて」


そう言われて鏡の中の私を見つめた。
すると体が十秒程ガタガタ震えたと思ったら、何かが体の中に入ってくる感覚がした。


私は鏡を見つめたがさっきと変わらない。
そして手を動かそうとしたが動かない。


「フフフッ、あなたの意識はあるけど、喋る事も、体を動かす事は出来ないって言ったでしょ?今夜、隼人をあなたの体を使って誘惑するから」


そう言われてしまい私は考えたが、初めてが隼人ならそれだけで幸せだ。


私は言葉は出ないけど心の中で『わかった』と言った。