帰国した雅人は、その足でライブ会場へと向かった。
「お前、またギリギリかよっ!滝沢さんが、首長くして待ってっぞ。」
茂木にそう怒られて、雅人は首をすくめた。
「ごめーん。これでも急いで来たんだけど。あ。そうだ。俺、結婚するから。よろしく。」
飄々と雅人がそう言うと、茂木は唖然とした。
「……だって、お前……ついこないだ結婚して離婚したばっかりじゃねーの?」
「うん。かほりが妊娠したんだって。だから。」
雅人はうれしさで満面の笑みを浮かべてそう言った。
……が、茂木は眉間に皺を寄せた。
「マジかよ。お前……。じゃあ、それで離婚したの?いや、それより、かほりちゃん……お前の浮気をさんざん我慢してきたけど、バツイチでもいいって?……なんか……泣けてくるな。」
「泣いてないじゃん。怒ってるじゃん……俺に。」
本当はバツイチじゃなくてバツ2なんだけどね……。
雅人は心の中でそうツッコみつつ、茂木の非難は聞き流した。
りう子と雅人の結婚は、メンバーにも、事務所内にも内緒にしている。
これからも誰にも言うことはない。
本人同士にとっても、なかったことになりつつある。
今さら蒸し返す必要はない。
「お。来たな。……尾崎、これ、どう?」
一条が、手描きの楽譜を持って来て、雅人に手渡した。
横から覗き込んだ茂木が、ゲッ……と、嫌そうな声を漏らしてから、一条に文句を言った。
「何?この乱拍子。……どう歌うんだよ!」
確かにパッと見ただけでもうんざりするような複雑な譜面だった。
でも、雅人は譜読みをして、むしろワクワクし始めた。
「いや。譜面だとそう見えるだけじゃない?言葉のせて歌ったら、けっこうイイかも。ジャズみたい。」
一条は、ほほ笑んだ。
「惜しい。バロックだよ。1回めのデビュー前に、教授のアパートのスタジオでさ、尾崎とかほりちゃんのアンサンブルを録音してたことがあったんだ。……その時の尾崎のめちゃめちゃ悪ノリしまくったアレンジを誇張させたら、なんか、おもしろくなる気がしたんだ。」
「……なんだ、それ。じゃあ、作曲は俺じゃん。」
雅人がそうツッコむと、一条はもっともらしくうなずいた。
「お前、またギリギリかよっ!滝沢さんが、首長くして待ってっぞ。」
茂木にそう怒られて、雅人は首をすくめた。
「ごめーん。これでも急いで来たんだけど。あ。そうだ。俺、結婚するから。よろしく。」
飄々と雅人がそう言うと、茂木は唖然とした。
「……だって、お前……ついこないだ結婚して離婚したばっかりじゃねーの?」
「うん。かほりが妊娠したんだって。だから。」
雅人はうれしさで満面の笑みを浮かべてそう言った。
……が、茂木は眉間に皺を寄せた。
「マジかよ。お前……。じゃあ、それで離婚したの?いや、それより、かほりちゃん……お前の浮気をさんざん我慢してきたけど、バツイチでもいいって?……なんか……泣けてくるな。」
「泣いてないじゃん。怒ってるじゃん……俺に。」
本当はバツイチじゃなくてバツ2なんだけどね……。
雅人は心の中でそうツッコみつつ、茂木の非難は聞き流した。
りう子と雅人の結婚は、メンバーにも、事務所内にも内緒にしている。
これからも誰にも言うことはない。
本人同士にとっても、なかったことになりつつある。
今さら蒸し返す必要はない。
「お。来たな。……尾崎、これ、どう?」
一条が、手描きの楽譜を持って来て、雅人に手渡した。
横から覗き込んだ茂木が、ゲッ……と、嫌そうな声を漏らしてから、一条に文句を言った。
「何?この乱拍子。……どう歌うんだよ!」
確かにパッと見ただけでもうんざりするような複雑な譜面だった。
でも、雅人は譜読みをして、むしろワクワクし始めた。
「いや。譜面だとそう見えるだけじゃない?言葉のせて歌ったら、けっこうイイかも。ジャズみたい。」
一条は、ほほ笑んだ。
「惜しい。バロックだよ。1回めのデビュー前に、教授のアパートのスタジオでさ、尾崎とかほりちゃんのアンサンブルを録音してたことがあったんだ。……その時の尾崎のめちゃめちゃ悪ノリしまくったアレンジを誇張させたら、なんか、おもしろくなる気がしたんだ。」
「……なんだ、それ。じゃあ、作曲は俺じゃん。」
雅人がそうツッコむと、一条はもっともらしくうなずいた。



