目の前に、雅人がいる……。
信じられない想いで、かほりは大きく目を見開いて雅人を見つめた
「……びっくりした。急に……どうしたの?あ!そうだ!ひどい!婚姻届なくしたって聞いたけど、本当になくしちゃったの?」
かほりは思い出したようにそう問い詰めた。
雅人は両手を挙げて、それからおもむろにジャケットの内ポケットから封筒を取り出した。
「うん。ごめん。なくした……ってか、破損?破れちゃってね。……もっぺん書いて?」
そう言って、封筒から出したのは、かほりの記入欄以外は全て埋まった婚姻届だった。
……ピンときた。
「……ふーん?破られたんだ……。ちゃんと別れた?」
相手は誰か知らない。
聞きたくもない。
でも、破れたというのなら、たぶん、女性に破られてしまったのだろう。
かほりは口を尖らせて見せた。
雅人は、ちゅっと唇をくっつけるだけの軽いキスをしてから、へらっと言った。
「びっくりしたよ。かほりがいるって知ってるし、つきあってるつもりもなかったんだけど……誤解させちゃってたかな。」
……誤解するようなことをしてたってことね。
まったく、もう……。
むーっと押し黙ったかほりに、雅人は慌てて暴露した。
「や!もう、大丈夫だから!ほら、高校の時に、かほりが断わってくれた、和泉田ちゃん?ライブに来てくれてたんだけど、ずっとかほりの姿が見えないから、別れたって思い込んでたみたい。」
「あ~……和泉田さん……。」
料理上手で家庭的で……ナイスバディな女の子……。
あの子に迫られたら、そりゃあ……雅人は断れないわよね。
「うん。ビリビリに破られちゃって、さすがに、俺も怒っちゃった。そしたら、逆ギレされてさ。俺にビンタして帰ってっちゃった。それっきり。だから、もう大丈夫だよ。」
……大丈夫って言うのかしら……それ……。
ほとぼりがさめた頃、再び和泉田さんが現れたら……雅人は、やっぱり拒否しないだろう……。
そういう男だ。
わかってる。
わかってるけど……。
かほりの瞳から、ほろりと涙が1粒こぼれ落ちた。
信じられない想いで、かほりは大きく目を見開いて雅人を見つめた
「……びっくりした。急に……どうしたの?あ!そうだ!ひどい!婚姻届なくしたって聞いたけど、本当になくしちゃったの?」
かほりは思い出したようにそう問い詰めた。
雅人は両手を挙げて、それからおもむろにジャケットの内ポケットから封筒を取り出した。
「うん。ごめん。なくした……ってか、破損?破れちゃってね。……もっぺん書いて?」
そう言って、封筒から出したのは、かほりの記入欄以外は全て埋まった婚姻届だった。
……ピンときた。
「……ふーん?破られたんだ……。ちゃんと別れた?」
相手は誰か知らない。
聞きたくもない。
でも、破れたというのなら、たぶん、女性に破られてしまったのだろう。
かほりは口を尖らせて見せた。
雅人は、ちゅっと唇をくっつけるだけの軽いキスをしてから、へらっと言った。
「びっくりしたよ。かほりがいるって知ってるし、つきあってるつもりもなかったんだけど……誤解させちゃってたかな。」
……誤解するようなことをしてたってことね。
まったく、もう……。
むーっと押し黙ったかほりに、雅人は慌てて暴露した。
「や!もう、大丈夫だから!ほら、高校の時に、かほりが断わってくれた、和泉田ちゃん?ライブに来てくれてたんだけど、ずっとかほりの姿が見えないから、別れたって思い込んでたみたい。」
「あ~……和泉田さん……。」
料理上手で家庭的で……ナイスバディな女の子……。
あの子に迫られたら、そりゃあ……雅人は断れないわよね。
「うん。ビリビリに破られちゃって、さすがに、俺も怒っちゃった。そしたら、逆ギレされてさ。俺にビンタして帰ってっちゃった。それっきり。だから、もう大丈夫だよ。」
……大丈夫って言うのかしら……それ……。
ほとぼりがさめた頃、再び和泉田さんが現れたら……雅人は、やっぱり拒否しないだろう……。
そういう男だ。
わかってる。
わかってるけど……。
かほりの瞳から、ほろりと涙が1粒こぼれ落ちた。



