身体も……心も……ずっとずっと……そばにいて。

どうか……私の中に……来て……。


かほりは、身をよじって、雅人の胸に身体を預けた。


ドキドキドキドキ……

雅人の鼓動が激しくなっている。

視線を落とすと、股間も……反応しているようだ。

かほりは、そっと手を伸ばし、愛しげに撫でた。


「……かほり……ちょっ……」

まさかタクシーの中で、かほりがそんなことをするなんて……

やばい。

やばいよ、かほり……。

直接じゃなくとも、かほりに触れられる……それだけで出てしまいそうで……

「待って……ここじゃ……もったいない……」

思わずそう囁いて、かほりの手首を捉えた。


……もったいない……そうね……こんなところで下着の中に射精されたら、もったいないわ。

かほりはおとなしく、雅人に抱かれていた。

少し頭を上げると、雅人の首筋。

かほりは、痕を付けるために、唇を寄せた。




その夜から2泊、りう子が手配してくれたホテルに滞在した。

かほりと雅人は全てを忘れて、お互いの身体に没頭した。

昼も夜もなく、愛を交わした。

雅人は、かほりを翻弄し支配することで、ようやく自分を取り戻す……昔からそうだった。

かほりがいい。

かほりだけでいい。

かほりとこうしていることが、幸せだ。

……なのに、どうして、俺は……。


雅人の揺るぎない愛を全身に受け止めて、かほりもまた満たされた。

と、同時に……かほりは……子宮内を雅人の精で満たすことに集中した。

ちょうど排卵日ぐらいのはずだ。

うまくいけば、雅人の子供を授かるかもしれない。

そんな想いが、かほりをこれまで以上に貪欲にさせた。


時間は、もう、わずかしか残されていない。

もっと……もっと、来て……。

食事を摂る時間さえ惜しんで、2人はお互いの全てを貪った。




かほりがドイツに戻る日の朝、ようやく放置していたスマホを立ち上げた。

家族からの着信履歴……それから、りう子からは、10を超えるメールが届いていた。

「わ!なんだ?繋がらない……。え?……あれ?」

同じく、スマホに電源を入れた雅人が、素っ頓狂な声を上げた。