そして、店内をぐるっと見回すと、ガラス張りにされ、キラキラ輝くケーキ達を見つけた
「す、凄い…。綺麗…」
もっときっと、このケーキ達の状態を表すには合う表現があるのだろうが、今の彼女はケーキに魅せられとても言葉を選ぶ状態でも、ましてや言葉を発する事さえ無意識である。
「何かお探しですか」
突然人の声がしたため、和葉は肩を飛び上がらせ驚いた
そちらをみると「驚かせてしまったようですね」と彼女を見て微笑むコックコートのようなものを身につけている男性がいた
30代だろうか、鼻がたかく、目は優しそうであるが少し切れ目で色白な世間的に美形と呼ばれる部類に入るであろうその男はここの店長のような威厳がある
「お嬢さんは迷い猫かな」とおどけて笑い、「この雨の中寒かっただろうに」と店内のイスに和葉を座らせ、奥へと引っ込んでいったと思ったら、タオルを持ってきてくれたらしく、彼女にふわっとかけた
