甘い恋じゃなかった。






「シチューありがとう」



お風呂を洗い終わりキッチンに戻ると、サッと愛良さんが後ろ手に何かを隠した。



「ん…?なに?」



「は?何がですか?ていうかシチュー出来ましたよ。運びます」



「あ、うん。ありがとうございます」




盛り付けられたシチューをテキパキとテーブルに運んでいく愛良さん。




…?気のせいかな。



そうこうしているうちに桐原さんも帰ってきて、夕食の準備も整った。




「ちょっとー、まだ?」



なるべく洗い物は先に片付けてしまおうと、鍋を洗っていた私を一足先に席に着いていた愛良さんが呼ぶ。




「あ、今行きます」




タオルで手を拭い、桐原さんの正面の席に腰をおろした。




瞬間。




ブーッ!




…私のお尻から盛大な音が。そう、まるでオナラのような。




「ちょっと、勢いよくオナラしすぎじゃないですか」



すかさず愛良さんが顔をしかめて言う。



「きったねーな」


桐原さんが心底軽蔑した表情で私を見る。




え…私今、オナラした!?




私はワケが分からずつい「すみません」と謝ってしまった。


ていうか、いつもよりも座布団が少し分厚いような…?


その下を探ってみると、鮮やかな蛍光イエローのクッションが出てきた。


黒字で“BOO!BOO!”と書いてある。




これって…





「ブーブークッション「お兄!これ全部愛良が作ったんだよ?おいしいでしょ~?」




私を遮るように、愛良さんが満面の笑みで桐原さんに話しかけた。