甘い恋じゃなかった。






「ふーん、なるほどね」



一通り話を聞いた莉央。隣の先輩の席を勝手に拝借し、ふむふむと頷いている。



「つまり、明里の同居人を追っかけてきた女と、三人で住むことになってしまったと」



「うん、まぁ女っていうか、いも…」



「それは危険よ明里!」



突如人差し指を突きつけられ、思わず肩がビクッと跳ねた。


いつになくシリアスな表情で莉央が続ける。




「女の嫉妬は怖いからね…爆睡しているところをナイフでグサッ!とか…」



「ちょっ脅かさないでよ大袈裟な」



「いーや全然大袈裟じゃないね!
とにかく、気を付けろって話よ」




それからも莉央は、入浴中の無防備なところをナイフでグサッ!とか、夕飯に毒物を混入とか、考えられる様々なケースを想定しては私を怖がらせてきた。



たぶん少し、いやかなり、私をからかって楽しんでいる。




「ていうか同居人の男って顔がカバ似の上に性格最悪なんでしょ?そんな奴を追っかけてくる物好きな女もいるんだね」



「う、うんまぁ…ね」